フラワードリッパーの魅力と美味しい淹れ方|CAFEC独自の理論で味が劇的に変わるドリッパー


お店で飲んだあの一杯が忘れられなくて、同じコーヒー豆を買って帰ったのに、なぜか家では同じ味にならない。「やっぱり自分の腕が足りないのかな…」と、ちょっと落ち込んだ経験はありませんか。確かに、コーヒーの抽出には分量や温度など大事な要素がいくつもあります。

でも、もしかしたら原因は、使っているドリッパーの構造にもあるかもしれません。コーヒーの味は、お湯が粉の層をどう通り抜けるかでほぼ決まります。つまり、その「通り道」を設計している器具こそが、味の主導権を握っているということ。あなたの好みの味になるドリッパーは、もしかしたらフラワードリッパーなのかもしれません。

この記事では、CAFEC(三洋産業)が生み出した「フラワードリッパー」が、なぜ誰が淹れても美味しくなるのか、その理由を構造と理論の両面から解説します。読み終わる頃には、明日の一杯が変わるはずです。

なぜ美味しく淹れられる?フラワードリッパー3つの秘密

2016年にデビューしたCAFEC(カフェック)の「フラワードリッパー」。上から覗き込むと花びらが開いたように見える、あの美しいドリッパーです。見た目のエレガントさから手に取る方も多いのですが、実はこの形、デザインのためだけに生まれたものではありません。

日本のハンドドリップ競技会では、2021年ワールドブリューワーズカップ準優勝の畠山大輝氏をはじめ、数々のトップバリスタがこのドリッパーを手にタイトルを獲得してきました。プロが競技の舞台で信頼を寄せるのには、きちんとした理由があるんです。

フラワードリッパーの実力は
「深リブ(溝)」「大きな1つ穴」「角度設計」
という3つの構造が支えています

① 花の形を活かす「深リブ」が空気の通り道を確保

フラワードリッパー最大の特徴が、内側をぐるりとえぐるように彫り込まれたフラワーリブ(溝)です。この深く掘られた溝のおかげで、ペーパーフィルターがドリッパーの壁面にぴたりと貼り付いてしまうことがありません。

「ペーパーが壁に貼り付くと、何が問題なの?」と思いますよね。ここが重要なポイントです。焙煎したてのコーヒーの粉は、お湯を注ぐと炭酸ガスを放出してモコモコと膨らみます。このとき、空気と液体の逃げ道がないと、ガスが行き場を失って粉の層が不自然に押し上げられ、濾過層が崩れてしまいます。特に、日本のご家庭で楽しまれている方が多い中深煎りー深煎りは、この膨らみを壊さずに淹れることが重要と我々は考えているため、ドリッパーが膨らみを妨げない形状をしています。

CAFECは、この形状を「ネルフィルターのように新鮮なコーヒーが膨らむのを、容器が抑えつけないようにえぐった形」と表現しています。花びらのような美しいシルエットは、粉の膨らみを最後まで邪魔しないためだったわけですね。

結果として、粉自身が作る濾過層(ろかそう)——お湯が通り抜けるコーヒー粉の層——が理想的な形のまま保たれ、雑味の少ないクリーンな一杯につながります。

② 雑味が出る前にドリップを完了させる「大きな1つ穴」

フラワードリッパーの底には、大きな1つ穴が空いています。これは「早く落とすため」の穴ではなく、抽出スピードの主導権を、器具ではなく淹れ手に渡すための設計です。

コーヒーの成分には「出てくる順番」があります。お湯を粉の層に通過させる透過法では、甘味や旨味といった美味しい成分が先に溶け出し、その後から渋みや不快な苦味といった雑味が流れ出てきます。つまり、雑味が出てくる前に必要な量を抽出し終えることが理想。

ちなみに、コーヒーの成分のほとんどは全抽出量の1/3までの注湯で引き出されています。それ以降の注湯は「濃度と抽出量の調整」と考えると、ドリップがぐっとコントロールしやすくなりますよ。

最後の一滴まで落としきる必要はありません
雑味が出る前に切り上げる。これがクリーンな味の秘訣です

③ 1杯専用「DEEP27」が少量抽出の難しさを解決

「1杯分だけ淹れると、なぜか味が薄くてぼやける」——これ、おうちコーヒーで最も多い悩みのひとつです。原因はシンプルで、粉の量が少ないと、濾過層が浅くなってしまうから。お湯が粉に触れている距離と時間が足りず、旨味を引き出しきれないうちに落ちてしまうんですね。

CAFECはこの問題に、角度で答えを出しました。フラワードリッパーの原型は60度。そこから3〜7杯用の「DEEP45」で45度まで絞り込み、ついに1杯専用の「DEEP27」で27度という極限の鋭角に到達します。

円すい形が鋭くなるほど、同じ粉の量でも層は縦に深くなります。DEEP27なら、10g〜12gという1杯分の粉でも、しっかりとした深さの濾過層が形成されるというわけです。

さらにDEEP27は、中心へ「一点注湯」を続けるだけで自動的に理想的な抽出になるよう設計されています。壁面を使った複雑なテクニックは不要。むしろ表面積が広いぶん、序盤は強く注ぎすぎないことがコツです。慎重に注ぎ始め、後半でスピードを上げていくと、香りの広がりが見違えます。

1杯分の目安は、粉10gで抽出量120cc、12gで150cc。お湯の温度は浅煎り(Light Roast)なら92℃、中深煎りは90℃、深煎り(Dark Roast)は83〜85℃を目安にしてみてください。

技術不足の不安を解消する!CAFEC「フラワードリッパー」の魔法

ここまで読んで、「結局、上手く淹れるには練習が必要なのでは?」と感じた方もいるかもしれません。でも、CAFECの答えは真逆です。

中塚社長はこう語っています。「うちは器具のメーカーだから、腕でコントロールするんじゃなくて、器具やペーパーでコントロールできる形を作りたい」。DEEP27が生まれた背景には、世界中のCoffee lover(家庭でコーヒーを楽しむ人たち)が、技術に関係なく美味しい一杯にたどり着ける世界を作りたいという思いがあったのです。

この思想は、ペーパーフィルターにも徹底されています。CAFECのアバカ(マニラ麻)を配合したペーパーフィルターは、パルプ臭が極めて少なく、両面に施した独自のクレープ(細かなしわ)が水の通り道を確保。微粉が付着しても目詰まりしにくく、最後までスムーズに抽出できます。

さらに焙煎度別に3種類を展開し、抽出スピードそのものをペーパー側で調整できるようにしています。

  • T-92(浅煎り用):厚み0.15mm・片面クレープ。お湯を適度に溜め、華やかなアロマとクリーンな酸味を引き出す
  • T-90(中深煎り用):厚み0.28mm・両面クレープ。水流路を最適化し、最もバランスの良いフレーバーに
  • T-83(深煎り用):厚み0.22mm・クレープを低く設定。ボディ感と甘味を最大限に際立たせる

ちなみに、抽出前にペーパーをお湯で濡らす「リンス」は匂いをとる目的なら必要ありません。CAFECのペーパーフィルターは紙の匂いがしないため、そのままセットするだけで最高の味が引き出せます。

腕を磨くのではなく、器具に任せる。
これがCAFECの「魔法」の正体です

「樹脂製」を愛用する理由について

フラワードリッパーには、伝統工芸の有田焼(磁器)をはじめ複数の素材があります。磁器の滑らかな肌触りと高級感は、それだけで所有する喜びのあるもの。ただ、毎日使う一台としてプロが選ぶことが多いのは、実は樹脂製(トライタン)なんです。

① なにより割れない!頑丈。

理由はとてもシンプル。落としても割れにくいからです。

フラワードリッパーに採用されているトライタンは、米国イーストマン社が開発したBPAフリーの素材。人体への安全性はもちろん、EUの厳しい規制もクリアしています。そのうえ軽量で、朝の忙しい時間にドリップケトルを持ちながら扱っても手元が安定します。

そして見逃せないのが、環境面での意味合いです。「割れないから買い替えなくていい」ということは、そのまま製品寿命の長さ=ゴミの削減につながります。CAFECがトライタンへのシフトを進めている背景には、ゼロウェイスト(廃棄物ゼロ)への明確なコミットメントがあるんです。長く使えて、財布にも地球にもやさしい。愛用者が多いのも納得ですよね。

② 0.1mm単位の精密な「フラワーリブ」により、コーヒーの抽出を器具がコントロール。

もうひとつ、味に直結する理由があります。それが成形精度です。

ここまで解説してきた通り、フラワードリッパーの性能はリブ(溝)の深さと形状にすべてが懸かっています。ペーパーフィルターと壁面のあいだにどれだけの空間を確保できるか。その差はごくわずかな寸法の違いですが、お湯の抜け方、ひいてはカップの中の味を確実に左右します。

樹脂成形は、金型の形状をそのまま製品に転写できるため、この繊細なリブ(溝)を設計値どおりに、しかも一台一台ばらつきなく再現できるという強みがあります。「昨日と同じように淹れたのに味が違う」という迷いを、器具の側から取り除いてくれるわけです。

50年以上にわたってコーヒー濾過技術を追求してきたCAFECが目指すのは、感覚ではなく再現性。Osmotic Flow(オズモティックフロー)という科学的な抽出理論を、物理的な形として落とし込んだのがこの精密なリブ(溝)なのです。

樹脂製=廉価版ではありません
「割れない」×「精度が出る」という、実用の最適解です

まとめ:道具が変われば、明日の一杯が変わる

フラワードリッパーが多くのプロと愛好家に選ばれてきた理由を、あらためて振り返ってみましょう。

深く彫り込まれたリブ(溝)が空気の通り道を確保し、粉の膨らみを妨げない。大きな1つ穴が抽出スピードの主導権を淹れ手に渡し、雑味が出る前に淹れ終えられる。そして27度という極限の角度が、たった1杯分の粉でも深い濾過層を作り出す。すべてに理由があり、すべてが味につながっています。

コーヒーは、条件を少し変えるだけで同じ豆からまったく違う味が生まれる、とても懐の深い飲み物です。だからこそ、その変化を正確に受け止めてくれる道具を選ぶことが、上達への一番の近道になります。

今日淹れた一杯が、昨日より少しでも美味しくなりますように。あなたのおうちコーヒーの時間が、もっと豊かで笑顔あふれるものになることを願っています。

 

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